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会社員であっても自営の副業・複業を行うとその時点で、個人事業主になるため開業届を出す義務が発生します。
ただし、副業・複業で開業届を出すことが義務だと知っている人は、少なく提出している人はさらに少ないでしょう。また、開業届を出すことで副業・複業が会社にバレないかなど色々と気になることもあると思います。
そこで今回は、開業届を出すことのメリットやデメリットについて考えていきます!
(出典:ぱくたそ)
開業届を出していて税務署に認められたなら、事業の所得を事業所得として申告できるようになります。事業所得として認められるためには一定の規模である他、様々な条件がありますがその所得がなくなると生活に影響が出ることも条件の1つです。その事業だけで生活している場合など本業として行なっている場合は、比較的簡単に事業所得と認められるようです。
副業・複業の場合は事業所得として申告するための基準はかなり厳しくなります。本業の収入だけで生活費が賄われている場合は、副業・複業の収入が本業を超えていても事業所得と認められないこともあるようです。損益通算が行えるほか青色申告ができるなど様々なメリットがありますが、デメリットもあるため事業所得で申告できる場合であっても、選択するかどうかをよく検討するべきでしょう。
(出典:ぱくたそ)
事業所得として申告している場合は損益通算が可能になります。これは他の事業や会社の給料がある場合は損益の合算ができるということです。副業・複業で赤字が出た場合に、赤字の分を申告して本業の所得から引くことができるというわけです。
既に支払われた所得税が減額になるため、その分が還付されることになります。これはかなり大きなメリットですが、そのせいで副業・複業では損益通算が難しくなってきていることについて後ほど説明します。
(出典:ぱくたそ)
事業所得で申告できるようになっていなければいけませんが、開業届とは別に確定申告の対象となる年の3月15日までに「所得税の青色申告承認申請書」を提出することで青色申告ができるようになります。本格的な青色申告は複式簿記の知識が必要なため、白色申告と比べるとかなり複雑になりますが様々なメリットがあります。
以前は知識がないと税理士に頼む人が多かったでしょうが、最近では計算ソフトがあるため知識がなくても青色申告を簡単に行うことができるようになりました。青色申告では「賃貸対照表と損益計算書」を提出して期限内に申告することができれば所得から65万円の控除を受けることができます。複式簿記で記帳しない場合でも青色申告を行えば10万円の控除が受けられます。
(出典:ぱくたそ)
事業を手伝っている家族に対して給料を支払っている場合、その給料分を経費にすることができますが白色申告だと一部しか経費にすることはできません。青色申告を行うと制限がないため給料全額を経費として計上することができます。
(出典:ぱくたそ)
赤字が出た場合、翌年の利益から赤字分を引いて申告することができます。最大で三年間の赤字を利益から差し引くことができるため、かなりの節税効果が見込めます。他にも経費として認められるものが増えるなど青色申告の節税効果はかなり大きいです。
(出典:ぱくたそ)
開業届を出していれば屋号で銀行口座を作ることができます。個人の銀行口座しかないと事業とプライベートでお金の流れを分けることができないため、計算がややこしくなってしまい申告時などにとても面倒です。事業用の口座を作っておけば申告時の計算などがかなり楽になります。
(出典:pixavy)
開業届を出すと毎年確定申告をすることが求められます。毎年、時期になると確定申告の書類が送られてくるようになります。それだけですが、確定申告の時期を知らせてくれるのは便利です。
(出典:ぱくたそ)
開業届を出すと税理士が講師をしている無料相談会などの案内が届くようになるほか、無料で記帳指導をしてくれるサービスを受けることができるようになるようです。税理士に相談するのは基本有料ですし、自分で勉強しても正しいかどうか不安な部分が残ると思います。無料で専門家に相談できる機会があるのは大きなメリットでしょう。
(出典:ぱくたそ)
会社が倒産したりリストラにあった場合、手続きをすれば雇用保険の基本手当、いわゆる失業保険を受け取ることができます。
ただし、開業届を出しているとこの失業保険を受け取ることができない可能性が高くなります。(出典:ぱくたそ)失業保険を受け取る条件の1つとして、本人に再就職する意思と能力があることが求められます。開業届を出しているなら既に事業を行っていると判断されるため、再就職する意思がないと判断されるケースが多いようです。開業届を出しているだけで全面的に失業保険を受け取れないわけではないようですが、基本的に受け取ることができないと考えておいた方が良いでしょう。
(出典:ぱくたそ)
すべての自治体に当てはまるわけではありませんが、事業所得として申告してしまうと会社に副業・複業をしていることがバレやすくなる恐れがあります。納税すべき金額が記載されている特別徴収税額通知書が会社に送られてきます。そして、この通知書の中にはどの所得で申告が行われたかが、分かるようになっている場合があるのです。
副業・複業の収入を事業所得で申告した場合は事業所得の欄に、雑所得で申告した場合は雑所得の欄にチェックが入ることになります。これを見れば会社はその社員に、どんな所得があるのかが一発でわかるわけです。雑所得の場合は何の収入か分からないため、副業・複業をしていることが分かるわけではありません。不用品等を売って高額になった場合でも雑所得になります。
しかし事業所得にチェックが入っていたら、事業をしていることが確実になるため副業・複業をしていることがバレてしまうということです。特別徴収税額通知書を見て、所得があることが分かるかどうかは自治体によって違います。
会社に副業・複業を隠しておきたい場合は、確認してから事業所得で申告するようにしましょう。
(出典:ぱくたそ)
開業届を提出する際、業種について記載する必要があります。事業所得が290万を超える場合個人事業税がかかってきますが、業種によって税率が変化してくるのです。開業届は安易に提出してしまうことが多いですが、業種によって支払う税金が変わってくるため慎重に考えて自分がどの業種に該当するかを決めましょう。
(出典:ぱくたそ)
副業・複業であっても自分で事業をする場合はその時点で個人事業主になるため、1ヵ月以内に開業届を提出しなければなりません。個人事業主の開業届を出すことが義務付けられている以上、罰則がないか気になる人は多いでしょう。
しかし、提出しなかったからといって何か罰則があるわけではありません。
開業届は事業の実態がなかったとしても誰でも出せば受理されるものです。開業届を出して何もしていない人や、申告するほど利益がない人や赤字の人も数多いと考えられます。収入が少ないのに開業届けを税務署に出そうとして、断られたという話もあります。確定申告をする人間が増えると税務署の仕事が増えることになりますから、規模が小さい場合は開業届を出して欲しくないという考えもあるのかもしれません。
とにかく、開業届を出さないからといって何か問題があるわけではありません。メリットとデメリットを考えた上で出すかどうかを決めた方が良いでしょう。
(出典:ぱくたそ)
これも誤解している人が多い話ですが、開業届を出したからといって事業所得で申告することが認められるわけではありません。開業届は開業して一ヶ月以内に提出することが原則ですし、売上がなくても提出できます。
しかし、事業所得で申告できる条件にはある程度の規模であること、長期間継続していることと安定して売上があることなどが求められます。
本来、開業届を提出してすぐに事業所得として認められるはずはないのです。開業届を出すのは実質いつでも良いとはいえ、安定して売上がない事業では事業所得と認められません。事業所得で申告する場合は勝手に判断しないで、税務署に相談して事業所得で申告できるかを確認してからにしましょう。
事業所得で申告することになると会社に副業・複業をしていることがかなりバレやすくなりますが、開業届を出すことと事業所得での申告が許されることはイコールではありません。特に副業・複業の場合は開業届を出しても雑所得で申告することになる可能性が高いです。開業届を出したからといって、会社に副業・複業がバレることとは直接関係ありません。
(出典:ぱくたそ)
本業で事業を行っている場合は、事業所得で申告することは比較的簡単に認められるようです。
しかし、副業・複業の場合はかなり厳しくなってきています。これは事業所得だと損益通算ができることが影響してきているようです。
副業・複業で赤字を出した場合、損益通算を行えば所得を減らせるため所得税の還付を受けられます。ただ、この制度を悪用して副業・複業で赤字を出して還付を受ける脱税が増えているのです。
その影響で副業・複業の所得を事業所得として申告することに、税務署はかなり厳しくなっています。勝手な判断で事業所得として申告すると、修正申告になる可能性があります。税務署に相談してから申告することが大切でしょう。
(出典:ぱくたそ)
個人事業主の開業届を出すことは基本的には義務ですが、罰則はありません。
それに、一度開業届を出してしまうと失業保険を受けられない可能性が高いです。副業・複業の収入によって開業届を出すべきかどうか判断しましょう。
また、開業届を出しただけで事業所得で申告できるわけではありませんし、勝手に事業所得で申告して損益通算を行うと修正申告になる可能性があるため十分に注意しましょう。
【参考/引用】
◆助っ人
副業でも個人事業主の開業届を出さないと違法?メリットとデメリットを考える
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